朝日新聞の成年後見制度に関する連載記事です。
今日は全10回のうち2回目の記事です。
今回のテーマは認知症になり本人が判断能力を失ってしまった時の銀行での手続きについてです。
認知症になり本人が判断能力を失うと一切の法律行為が出来なくなりますが、法律行為には銀行窓口での手続きも含まれるため、預金の口座の凍結という事態に直面します。
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2月7日 第2回
1.タイトル
1)定期預金が引き出せなくなる
2.記事からの引用
1)親が認知症になったら家族でも定期預金は引き出せなくなる。(中略)もし母の口座が凍結されて自分が立て替えなければならなくなったらどうしよう、と焦った。
2)裁判所の統計によれば、成年後見制度の利用申し立ての動機として一番多いのが「預貯金などの管理・解約」だ。
3)(金融機関によると)重要なのは、あくまで窓口でのやりとりで預金者本人の意思確認が取れるかどうか。認知症と診断されると、一律に口座が凍結されてしまうということではない。
4)本人の入院などに備え、代理人氏名の仕組みがある。親子など2親等以内の家族が対象だ。意思能力が明瞭なうちに事前に代理人選任をしておけば、その後に認知症で意思能力を失っても、代理人になっている家族が払い出しを続けることが出来る。
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認知症というと預金口座の凍結と結びつきますが、認知症にもレベルがありますので、認知症であっても本人が窓口に来られて普通の応対が出来さえすれば、本人による手続きが可能です。
逆に、本人の頭はしっかりしていても体調等の問題で金融機関に出向くことが出来ない状態になってしまうと、諸手続きは後見人等正式な権限を持った人でないと行うことができず、結果的に口座が凍結した状態になってしまいます。
預貯金口座が凍結する原因は必ずしも認知症だけではないという点には注意が必要です。
口座凍結の回避策としては、予め定期預金などを解約し普通預金口座にお金を移しておき、本人が手続きをできなくなってからは家族などが代わりキャッシュカードでお金を引き出すという方法もあります。
金融機関にそうすれば良いのですか?と聞いても立場上良いとは言わないと思いますが、現実的にはそのような対応をしているご家庭は多いと思います。
但し、その場合にはお金の使い込みを他の家族等から疑われるリスクがありますので、出金履歴と使途についてはきちんと管理しておく必要があります。
また本文の引用にある「代理人の選任」については金融機関ごとに対応が違うようですので確認が必要です。
2親等以内の家族というのは、自分を基準にすると子や孫あるいは祖父母や曾祖父母となり、親等だけで言うと兄弟姉妹も該当しますが、代理人と認めてもらえるかは金融機関の判断次第だと思います。
成年後見は認知症をはじめとする本人の行為能力の不全と強く結びついた制度で、その際に目の前で生じる最初のリスクが預貯金口座の凍結となります。
しかし本人の能力が完全に失われてしまえば、問題となるのは預貯金口座の問題だけではありません。
不動産売買など高度な判断が求められる法律行為は一切行えませんので、やはり家族には先を見据えた対策を検討する必要があります。
成年後見制度シリーズ全10回
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