処分の難しい不動産がある
古くからの地主さんは長い地主生活の過程で不動産を多様な形で所有しており、その中には様々な問題を抱えている不動産も少なくありません。
人筆の土地に複数の借地権が設定された土地(底地権)や老朽化したアパートなど他人の権利が付着していたり維持管理に手間のかかる不動産はその代表的な例ですが、それ以外にも納税猶予を受けていて終生営農が義務付けられている農地や、接道義務を満たしておらず建物を建てることが出来ない土地、隣地との境界紛争中の土地など、売ろうにも売れない不動産というのは数多く存在します。
こんなことが起きるかもしれません
トラブル不動産を欲しがる相続人はいません。
不動産は所有しているだけで固定資産税や維持管理費、修繕費等のコストがかかり財産です。
コストや手間のかかる一方で、それに見合う収益を生まない不動産であれば、殆どの相続人は取得を希望しないのが普通です。
ましてやトラブルを抱えているともなれば、その財産はタダでもいらないというのが本音ではないでしょうか。
誰も取得を希望しない不動産は相続が発生すると相続人全員で共有状態となり、問題が先送りされることで更に問題を悪化させてしまいます。
対策
1)相続放棄
相続に於いて一切の財産を取得しないとするならば相続放棄が現実的な手続きです。
相続放棄をすることで他の相続人に相続分が移るので、その相続財産が抱える問題が解決するわけではありませんが、少なくとも相続放棄をした本人は相続から分離することが出来ます。(但し、相続人が自分一人の場合には、相続放棄をしても一定の管理義務からは逃れることは出来ないとされています)
2)売却
相続開始前であれ後であれ、トラブル不動産を売却してしまうというのも一つの方法です。当然値段は格安になりますが、問題点をすべて伝えた上で納得して購入をしてもらいます。
この場合、一般のエンドユーザーは対象にならず、問題のある不動産を安値で購入し、長い期間をかけて問題を解決した上で、高い値段で売却をしようとする事業者などが対象となります。