先祖名義の不動産がある

相続が発生した時、相続財産だと思われていた不動産が、実は先代名義のままになっていることがあります。
これはその不動産が厳密には被相続人の相続財産ではなく、被相続人は共有持ち分を有しているに過ぎないという可能性が高いです。
例えば祖父名義の土地があり、その後祖母が亡くなり、その相続人である子供たちにも既に相続が発生し始めている様になると、名義を変更するために了解を得る必要のある相続人の数が相当数になっていることが珍しくありません。

不動産名義が祖父のまま

こんなことが起きるかもしれません

名義が真の所有者となっていない不動産は処分できません。
原則として不動産は登記が真正な所有者の名義になっていないと売買契約を結ぶことは出来ません。
特に相続が発生した時に遺産分割協議を行っていない不動産は相続人全員による法定相続分による共有状態となっており、その後発生した相続によりさらに共有持ち分が細分化しています。
この不動産を売却しようとする場合などには共有者全員の同意を得るか、過去に遡って遺産分割協議を行うしかありません。
しかし単に共有者が多いだけでなく行方が分からない相続人がいる場合などには、その時点でその不動産は実質的に凍結状態となってしまいます。

対策

1)遺産分割協議が未了の場合

遺産分割協議が終わっていない相続財産は相続人全員が法定相続分で共有をした状態となります。
そしてさらに新たな相続が発生するたびに共有持分が細分化され相続人が増えていく恐れがありますので、その様な不動産がある場合には一刻も早く現在の名義人以降の全ての相続人との間で遺産分割協議を取りまとめる必要があります。
相続人は法定相続分を主張する権利がありますし、共有持分の買い取りを希望する人も当然いると思われますので、作業は簡単ではありません。
さらに行方の分からない相続人がいる場合や、遺産分割協議に非協力的な相続人がいる場合には、手続きが極めて難航する可能性があります。

2)遺産分割協議は済んでいる場合

遺産分割協議は行ったものの、その後の登記を行っていないという場合には遺産分割協議書(印鑑証明書添付)に基づいて、所有者変更の登記を行います。
但し、遺産分割協議者はあっても添付書類である印鑑証明書が紛失している場合や、登録印が変更されている場合には、実質的に再度作業をやり直す必要があります。