教えて!成年後見制度-8

朝日新聞の成年後見制度に関する連載記事です。
全10回のうち8回目の記事となります。
全体記事は最後に張り付けています。

成年後見制度においては誰が後見人になるかという点が非常に重要になります。
弁護士等の専門職が就任する場合、報酬コストの負担と併せ、そもそも見ず知らずの専門職がいきなり後見人となって本人の意思表示を代行するという点に抵抗感を覚える家族がとても多いです。
専門職による後見人への就任について新たな試みが始まっているそうです。

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2月16日 第8回
1.タイトル
かかりつけ弁護士って何?

2.記事からの引用
1)高齢者と専門家が信頼関係を築き、安心して成年後見制度を利用してもらうには、どうすればいいのか。
その試みの一つが「ホームロイヤー契約」だ。
ホームロイヤーは、個人向け顧問弁護士、いわば高齢者の「かかりつけ弁護士」

2)特徴は、判断能力がしっかりしているうちからの長期継続的な支援にある。

3)(ホームロイヤーは)見守り安否確認から各種トラブルの法律相談、預貯金などの財産管理、医療介護サービスの手続き支援、遺言書作成。任意の契約なので、本人の依頼に応じて様々な活動をする。

4)(ホームロイヤー契約は)成年後見制度の任意後見につなぐことを想定している。任意後見は、あらかじめ公正証書の契約で後見人を決めておく仕組み。ホームロイヤーを任意後見人とすれば、顔なじみの弁護士が継続支援することができる。

5)課題はある。支援内容によって大きく異なるが、月数千円から数万円の顧問料金、報酬が長期にわたり必要になる。

6)それでも単身高齢者が急増するなかで、高齢者の法的支援の需要は必ずある、(中略)「詐欺被害などは高齢者が孤立するから起きる。ホームロイヤーは、こうした被害の未然防止につながります」
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任意後見は、本人が判断能力を失った時に備え、後見人になる人をあらかじめ契約で定めておく制度です。
任意後見では本人が判断能力を失った時には原則として契約で指定された人(親族を含む)が後見人に就任しますので、後見人を自分で決められるという点において法定後見とは大きく異なります。
但し、任意後見を開始するにあたっては後見人の業務を監督する後見監督人を家庭裁判所で選任してもらう必要があり、後見手続きすべて身内で完結できるというわけではないことと、後見監督人に対する報酬が発生するという点には注意が必要です。

ホームロイヤー制度は弁護士による見守り契約から、任意後見契約につなげることを目的としているとのことですが、これは本人が元気なうちから弁護士と有償の顧問契約のような関係を作るものですので、お金に余裕のある方(例えば自営業者で既に顧問弁護士がいるような方)には馴染むかもしれませんが、一般の家庭で普及するにはかなりハードルが高いと思います。
実際に一般の任意後見制度でも見守り契約を取り交わし、その後任意後見へと移行するという手続きはあり、その場合には見守りと後見を親族が受任することが大半です。
身内が指定されればそもそも費用は掛からないのですが、それでもこの制度は広く普及しているとは言えないのが現状です。
要するにそもそもの話として任意後見制度自体が殆ど知られておらず利用もされていないのです。
この連載でも第1回の記事に書いてあったグラフによると、2017年12月現在で法定後見制度利用者数が16.5万人に対し、任意後見は2500人程度にとどまるとありました。
認知症高齢者は現在500万人を超すと言われていますので、その割合たるや0.05%程度ですので、ほとんど利用されていない制度であることは明白です。

判断能力を失った高齢者を支える仕組みが必要なのは事実ですが、不正利用などの間違いが無いように制度設計をしようとすると専門家の手助けが必要で、結果として報酬というコスト負担と柔軟性が失われるというジレンマがあります。
今回の記事を読んで、後見制度を広く普及させるために必要なのは、この様な専門家が介在する方向性ではないのではないかと疑問を持ちました。

個人的には、後見人は原則身内二人体制としてお互いの活動をチェックするようにし、それでも使い込み等が起きればそれはまずは本人が負うべきリスクとし、一方で不正をした後見人には厳しい罰を与えるという風に割り切ってもよいのでは?と思います。
親族後見人に不正が多いと言っても、多くの親族後見人は真摯な気持ちで後見人に就任しているはずですし、そもそも家族には法律で親子や兄弟姉妹の扶養義務が定められているのですから、公共の制度としては年間の収支報告書の提出を義務付けて後からでも不正流用等を追える仕組みをつくったり、後見人への就任時とその後は年一回のコンプライアンス講習の受講を義務付けるなどして後見人としての責任や意識を高めるぐらいでよいのではないかと思います。
後見制度も「リスクはあるけれどもそれは家族で受け入れるパターン」と「安心の専門職パターン」の2つを本人や家族が自身の責任で選択できるようにする方がシンプルでよいと思います。

後見制度を普及させるためには、後見人に就任する人を専門家中心に持っていくだけではなく、親族後見人を選べる余地を設けることが必要だと思いました。

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