家賃滞納による契約解除 賃貸保証会社が立て替え払いをした場合でも可能か?

先週の木曜日は宅建協会大宮支部の防犯パトロールでした。
防犯パトロールは毎月第三木曜日に行っており、大宮支部管轄エリア内の駅の周辺をパトロールした後に、場所を移して勉強会と懇親会を行います。
昨日は川越線の日進駅周辺でした。

宅建協会防犯パトロール 日進駅

また勉強会では、タイトルにあるような事例の紹介がありました。

<事案>

賃貸借契約を結んだ入居者(借主)が家賃を滞納した場合、通常は催告等の手続きを踏んだうえで契約解除が可能になります。
しかし最近の賃貸借契約では、借主の滞納に備えるため賃貸保証会社による滞納時の立て替え契約を結ぶことが一般的です。
賃貸保証会社は借主との間で賃貸保証契約を結ぶことにより、借主が滞納した時には貸主の要請に基づき滞納賃料を立て替え払いするとともに、借主に対しては滞納賃料等を請求するという仕組みです。
この保証契約により貸主は賃料の滞納リスクや督促の手間から解放されるため非常に便利なのですが、事例では賃貸保証会社から滞納賃料の弁済を受けた貸主は、借主との間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解約できるのかということが問題になりました。

<結論>

最高裁まで争われた結果、例え賃貸保証会社により弁済が行われているとはいえ、賃料の滞納という事実には変わりがないため、貸主の契約解除が認められました。

債務不履行による契約解除の要件は「信頼関係の破壊」です。
例え賃貸保証会社から弁済が受けられたとしても、貸主からすると借主に対する信頼は失われているでしょうし、そんな店子と今後も継続して付き合いたいという貸主はいないでしょう。
貸主と借主の関係は賃料の受け渡しだけではないからです。
なので、この裁判は現実に即した正しい内容だと思います。
尚、貸主と借主の間で契約解除が成立しなくても、賃貸保証会社が賃貸借契約を解除を申し立てる権利を留保している場合もあります。
すなわち賃貸保証会社は滞納が続く店子にこれ以上の賃借権を認めない様、自らが賃貸借契約の解除権を持つということです。
この点については今年の6月に大阪地裁で、賃貸保証会社に契約の解除権を認めるという判決がありました。

先日も当ブログで触れましたが、来年4月からの民法改正により賃貸借契約の連帯保証人ついての要件が厳しくなり、今まで以上に賃貸借の連帯保証は属人的保証から機関保証へと軸足が移るものと予想されます。
賃貸保証会社が提供するサービスも色々と複雑化してきていますので、賃貸保証会社との関係は一層重要になってくると思われます。

 

賃貸保証会社 提案書

 

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