戸建て賃貸の特徴

「戸建賃貸」という言葉を聞いたことがありますか?

言葉の通り一戸建ての賃貸物件ですが、従来は一戸建ての賃貸と言うと、戸建て住宅を建築・購入された方が何らかの事情で住まなくなり、売却ではなく貸し出しを選択するというケースが殆どでした。
貸すための一戸建てではなく、住んでいた一戸建てを貸し出すというイメージです。
ですので場合によっては建物が個性的過ぎたりして、必ずしも賃貸に適しているとは限りませんでした。

しかし最近は最初から貸し出しを目的として建築する一戸建てが増えています。
つまり賃貸物件を建築するにあたり、賃貸アパートではなく一戸建てを建てようか?という選択の中で、戸建て住宅を選ぶというケースです。

一般に戸建て賃貸のメリットは、

1.アパートよりも賃貸ニーズが高い
2.建築コスト(総額)が安い →資本回収が早い
3.比較的高額な賃料がもらえる
4.多少駅から離れた立地でも競争力が保てる
5.入居者の入れ替わりが少ないため安定収益が見込める
6.顧客の属性が良い(相対比較)
7.狭い土地でも建築できる
8.中古一戸建てとして売却も可能(投資目的・実需の両方に対応)
9.将来、自分で住むことも可能
10.相続税対策になる(これは賃貸アパートも同様)

などが挙げられます。

お客様にとっても共同住宅のわずらわしさが無く、庭や駐車場付きの物件も多いので特に子育て世代に人気がある印象です。

一方、相続税の対策として考えたときの戸建て賃貸には一つ大きな留意点があるので、その点は充分ご理解をしていただければと思います。
それは相続税計算上の評価減の制度である「貸家建付地(かしやたてつけち)」と「小規模宅地等の評価減の特例」の適用についてです。
説明に当たり「貸家建付地」と「小規模宅地等の評価減の特例」の概要についてまずご説明をさせていただきます。

貸家建付地

「貸家建付地」とは相続税計算上の財産上の分類で、財産の評価額に関係します。
自分が住んでいる土地建物の評価額を100とした場合に、人の貸し出している土地建物は自己使用に制約が出るという理由から評価額が下がるという考え方で、具体的には、建物については自己居住に比べて3割減、土地については概ね2割減となります。

小規模宅地等の評価減の特例

「小規模宅地等の評価減の特例」とは、相続時に被相続人が所有していた宅地を一定の相続人が相続した時にその宅地の評価額を下げて相続税の計算が出来るという制度です。
財産の評価額が下がるということは相続税の対象となる財産の価額が下がるということですので相続税対策になります。
賃貸住宅の敷地については「貸付事業用宅地等」という分類となり、200㎡までが50%減として評価が可能になります。(細かい適用要件がありますのでご注意ください)

(詳細は「貸家建付地」と「小規模宅地等の評価減の特例」をご参照ください)

よく地主さんが賃貸アパートを建てると相続税対策になるというのは、この2つの制度による評価減を利用するもので、例えば現金で1億円を相続するのと、その1億円で賃貸住宅を建築するのとでは評価額を半分前後にまで下げることが可能です。(ケースバイケースですが)

ところでこの2つの制度ですが、ともに「人に賃貸している」ということが要件になっていることにご注目下さい。
評価減がなされる理由が「人に貸すことで自己使用が制限される」という点にありますので、当然人に貸していることが重要になります。(貸すにしても有償で貸して「借家権」という強い権利が賃借人に発生していることが重要です)

この貸しているという要件に対し、戸建て賃貸は物件の性格上「満室か空室のどちらか」になります。
アパートであれば全部で10戸のアパートであれば1~2部屋空いているということはあっても全部が空室ということはあまりありませんが、戸建て賃貸の入居状況はオール・オア・ナッシングです。
そして、もし戸建て賃貸物件がたまたま空き家になっているときに相続が発生すると、「貸家建付地」や「小規模宅地等の評価減の特例」が適用できるのか?という問題が生じます。

国税庁は、賃貸物件が「たまたま相続発生時に空室になっているのであれば、それは賃貸住宅とみなしてよい」という見解を明示していますが、その基準はややあいまいです。
空室期間や空室になってすぐに募集を開始したかとか、空室になってから他の用途(自分が一時的に住むなど)に使っていないといった要素が基準になります。

国税庁「貸家建付地等の評価における一時的な空室の範囲

国税庁「小規模宅地等の特例についての空き室の取り扱いに関する見解

(抜粋)
例えば、相続開始の直前に空室となったアパートの1室については、相続開始時において継続的に貸付事業の用に供していたものと取り扱うことができるか疑義が生ずるところであるが、空室となった直後から不動産業者を通じて新規の入居者を募集しているなど、いつでも入居可能な状態に空室を管理している場合は相続開始時においても被相続人の貸付事業の用に供されているものと認められ、また、申告期限においても相続開始時と同様の状況にあれば被相続人の貸付事業は継続されているものと認められる。
したがって、そのような場合は、空室部分に対応する敷地部分も含めて、アパートの敷地全部が貸付事業用宅地等に該当することとなる。

戸建て賃貸の場合は、思いのほか空室が続くなどの事情が生じると、この重要な相続税計算上の特例が使えなくなる恐れがありますので、その点は充分ご注意いただければと思います。

ということで、やや強引ですが戸建て賃貸の走りともいうべきヒノキヤさんの見学会があるので参加してみようかと思っています。
もしご興味のある方がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。

貸し戸建て

 

 

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