3月6日付の朝日新聞朝刊の記事です。
世界8か国で展開するインドの最大手ホテルチェーン会社がヤフーと組んで日本で賃貸物件の運営をするそうです。
今年の3月から始まるサービスとのことなので間もなく事業開始となる見込みです。
我が国の不動産業界は体質が古く、それをビジネスチャンスと捉え業界に進出してくる新興会社が定期的に現れます。
今回のスキームは運営会社である「OYO(オヨ)」が不動産オーナーから部屋を借り上げ、それをエンドユーザーへ転貸するもので、全ての手続きをスマホで完結できる点が特徴です。
OYOが直接貸主となるため仲介業者が介在せず、重要事項説明が要らないことがこの仕組みを可能にしています。
肝心のお部屋は、家具付きで光熱費やインターネット料金、清掃費(?)が賃料に含まれ、都心部で一人暮らし向け10~15万円の賃料を想定しているそうです。
記事では20~30代の単身世帯をターゲットに、住みたいまちに簡単に引っ越したいという需要を狙うとありますので、かなりニッチな層を狙っているのは確かです。
1カ月単位で借りられるということですので、長期滞在型のホテルや民泊とも競合するイメージがあるのかもしれません。
今回のサービスもそうですが、賃貸物件の場合、仲介業者を介さずに契約する仕組みをITテクノロジーと組み合わせるという試みはそれこそインターネット黎明期からありました。
技術の進歩に伴いプラットホームは洗練されてきましたが、約20年ほど経った今でも賃貸物件探しの主流になるまでに至っていません。
また売買物件についても、数年前にソニー不動産がやはりヤフーと組んで知名度と資金力を背景に米国式の仕組みを作ろうとしましたが、今のところは失敗と言ってよい状態です。
今までに新しく勃興した新サービスがあまり成功していない理由を挙げればキリがないのですが、一方でこういった会社の試みが少しずつ業界の慣習や仕事の仕組みを変えつつあることも事実です。
(民泊もその一例だと思います)
今回のOYOが手掛けるサービスも世の中の流れを変えるほどのインパクトを持つのかは私にはわかりませんが、何らかの風穴を開けることには違いがないと思います。
行方を注目していきたいと思います。