遺産分割協議に期限 民法改正を検討

昨日の読売新聞夕刊の1面の記事です。
現在期限が設けられていない遺産分割協議に、期限を設ける方向で法務省が検討を始めたというお話しです。

現在の法律では、相続税の納付については相続開始後10ヶ月以内という期限が設けられて納税が義務付けられていますが、遺産分割協議自体には期限が無く、相続税が課税されない相続では、田舎の土地など価値の低い相続財産が遺産分割されないまま放置されてしまうというケースが少なくありません。
その場合、相続財産は法定相続人によって法定相続分で共有された状態となってしまいますが、不動産においてはわざわざ費用をかけてまで共有の登記をすることは稀であるため、結果として被相続人名義のままの不動産がいつまでも残ってしまうことになります。
さらに相続財産が遺産分割されないまま次の相続が発生してしまうとさらに問題は深刻化し、共有者の相続人が共有持分をさらに共有することになり、所有権の細分化と共有者関係の希薄化が進んでしまいます。
共有物は売却などの処分をするには共有者全員の合意が必要であるため、一部の共有者が売却をしたくても出来なかったり、所有者(共有者)不明の土地が公共事業用地内にある場合などには収用などの手続きもとれずに事業全体に支障をきたす事態が既に多く発生しています。

今回の法改正はその様な事態を無くすために遺産分割に期限を設けて、期限を過ぎても遺産分割が終わらない相続財産については法定相続分での分割を義務付けてしまおうというものです。
この様なことを検討するかもしれないという話は以前からありましたが、いよいよ実現に向けて検討が始まるとなるとこれはかなり画期的です。
さらには既に検討が始まっている相続登記の義務化(及び簡略化)も併せて検討が進むものと思われます。
我が国は民主主義の国ですので個人の権利が尊重されていてそれはとても良いことなのですが、個人の権利と公共の福祉を比較したときに、個人の権利が尊重されすぎている部分が少なからずあるという気が、少なくとも不動産にかかわる部分では感じることが多いです。
それ故に今回の話しにも反対や異論は多いと思いますが、個人的には期限を含めた実効性の伴った何らかの措置が取られても良い時期に差し掛かっていると考えます。

昨今は相続にかかわる法制度の改正が活発ですので、この協議の行方も関心をもって見守りたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA