【家族信託⑩】その他の登場人物(後継受託者・受益者代理人・信託監督人)

家族信託のその他の登場人物

 

今までは信託の仕組みを理解するために登場人物を絞ってご説明をしてきましたが、実際の家族信託のスキームではここまで説明してきた「委託者」、「受託者」、「受益者」、「帰属権利者」以外の役割を持つ人物を登場させることも可能です。

これらの人は家族信託のスキームをより安定的に運営する役割を担いますが、必ず設置しなくてはならないというわけではありません。

ご家庭の事情に応じて就任の是非を検討していくことになります。

家族信託の登場人物

1)後継受託者

受託者の死亡や辞任(解任)などにより受託者不在の家族信託となる場合が起りえますが、受託者が不在となっても家族信託は自動的には終了しません。

しかし家族信託のキーマンである受託者が不在になるという事態は、家族信託の運用を著しく不安定にさせますので、万が一受託者が不在となった場合に備え次の受託者を信託契約で定めておくことが必要です。
また受託者不在となった家族信託では以下の点にも留意する必要があります。

 

・受託者が死亡した場合でも受託者の地位は相続の対象にはなりません。

・後継受託者を定めていない場合には、委託者と受益者の合意により後継受託者を決めることが出来ます。

・受託者不在の状態が1年間継続すると信託は自動的に終了してしまいます。

・受託者を法人にしておくと、死亡による受託者不在という事態を回避することができます。

 

2)受益者代理人

受益者代理人とは、受益者のためにその一切の権利を代理で行使する人を指し、受益者が高齢であったり複数人の場合に就任することが多いです。

但し、受益者代理人が就任すると受益者本人は原則として受益者としての権利を行使できなくなりますので注意が必要です。(受託者の監督等を除く)

受益者代理人は信託終了の合意など非常に強い権限を有しますので、選任する場合には必ず信託契約の中で定めておく必要があります。

 

3)信託監督人

信託監督人は受益者のために受託者を監視・監督をする人を指します。

受益者代理人と同様、受益者が高齢の場合などに設定されることが多く、受託者の権限違反行為などを取り消すことが出来ます。

また自宅の売却などについては「信託監督人の同意を必要とする」といったような権限を信託契約で付与することも可能です。

尚、信託監督人は家庭裁判所に選任を申し立てることも可能です。

 

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