【家族信託④】家族信託の基本的な構成

家族信託シリーズ第四弾です。

家族信託は委託者が受託者に財産を信託し、受託者が受益者のために財産を管理・運用する仕組みですが、当然のことながら決まりごとはそれだけではありません。
建物の収まりを表す言葉に「建付け(たてつけ)」という言葉がありますが、この言葉は家族信託でも時々使われて、「家族信託の基本的な建付け」などという言い方をします。
これは「構成」や「仕組み」という意味で、委託者・受託者・受益者といった家族信託の当事者の関係性を信託契約に落とし込んで、各ご家庭オリジナルの家族信託の仕組みが構成されます。

1.スキーム

家族信託の基本的な構成は、委託者と受託者の間で信託契約を結び、信託の内容を定めるものであることは既にご説明をした通りです。

家族信託の基本的な建付け

2.ポイント

1)家族信託の基本的な考え方は、委託者が受託者に財産を信託し、受託者が管理・運用を行い、その結果として生じた収益等は受益者に帰属するというものです。

2)家族信託では「委託者=受益者」となるのが一般的ですが、「委託者≠受益者」とすることも可能です。
但し、その場合には委託者から受益者にその財産の贈与があったものとみなされ贈与税課税の対象となります。

3)受託者は個人でも法人でも構いません。また一人ではなく複数でも構いません。(受託者が複数になる場合は権限の明確化に考慮する必要があります)

4)信託契約では信託の目的、信託財産の種類、財産の管理・運用方法、受託者の権限、信託期間などを定めます。
受託者は受託者に求められる信義則に沿ってあくまでも信託契約で定められた目的や方法によって財産の管理・運用を行います。
誤解されがちですが受託者が全くの自由権限で財産を管理・運用するわけではないということをご理解ください。

5)受託者の報酬も信託契約の中で定めます。報酬は無しでも構いません。

6)信託契約の終了事由も信託契約で定めます。(受益者の死亡など)。

7)信託契約で信託の終了事由を定めない場合は、信託法の定めに従い信託は終了します。

8)家族信託では信託終了時に信託財産(受益権)をどのように分配・承継するのかを決めることができます。
これは遺言を書くのと同じ効果があり、家族信託の特長の一つです。

信託の終了や信託終了時の信託財産(受益権)の分配・承継については重要な内容ですので改めて詳しくご説明をしますが、いずれにしてもここで取り上げた内容が「家族信託の骨格」であり、そこに各ご家族の事情を肉付けしてそのご家庭独自の家族信託が組成されるというイメージとなります。

家族信託は信託法という法律のもと基本的な枠組みがあり、その上で信託契約においてかなり自由な裁量をもって各自の役割などを決めることが出来ます。
構成を柔軟に変えることが出来るということも家族信託の大きな特徴ということが出来ます。

 

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