作家 眉村卓氏の訃報

作家、眉村卓さんの訃報。

近年はがんで闘病中の奥様に毎日ショートストーリーを書き下ろしたというエピソードで有名ですが、私たちの世代というか私からするとジュブナイルSFの第一人者という印象が強いです。

角川映画で薬師丸ひろ子や原田知世が主演した「狙われた学園」や「なぞの転校生」の原作も読みましたが、個人的には主人公が現代と過去が入り混じった街に引っ越し、時空を超えた戦いに巻き込まれる「ねじれた町」や、不思議な力が働く魔性性を持った町が発展とともに変わっていく「魔性の町」が好きで、何度も読み返しました。
今思うと完全な異世界ではなく、リアリティのある普通の町が時代とともに変貌していく姿とその狭間で起きる不思議な出来事という舞台設定が、将来の不動産屋の琴線に触れたのかもしれません。
眉村作品は宇宙などを舞台にしたSF作品も多いですが、普通の生活に忍び込む異次元からの恐怖というシチュエーションの作品が印象深いです。
(「魔性の町」については事務所の本棚に置いてあったのですが見当たらなくなっていました。先日模様替えをした際にどこかに紛れてしまったのかもしれません・・)

また眉村さんの作品ではショートショート集も好きでした。
物語にいわゆるオチの無い不条理な作品が多く、最後の〆が「それでいいのである」の様に何も解決しないパターンが多く、その無常な後味が好きでした。
ジュブナイル小説ですから作品のターゲットは中学生ぐらいだと思いますが、私は結構大人になってからも繰り返し読み返した記憶があります。

数年前に断捨離ではないですが、小説や本をかなり捨てたのですが、そのなかでこれは残しておこうと思ったものには眉村さんの作品も多くありました。
感想文を書けと言われても難しいですが、一気に読めるエンターテイメントとしてとても楽しませて頂きました。
近年は新作を購入することもありませんでしたが、私の中ではいつも頭の片隅にある作家さんでした。

合掌。

眉村卓 魔性の町

 

ねじれた町は名作なので時代や出版社を超えて何度も出版されています。
(私は一度買いなおしたので真ん中の2冊を持っていました)

ねじれた町 眉村卓

 

また先日は漫画家の吾妻ひでおさんもお亡くなりになられました。
元祖萌え絵というのか、言葉が適切かは分かりませんがロリコン的な絵柄を描いた漫画家の先駆けとして有名だったらしいのですが、私の中ではアルコール中毒になってホームレスになる様を描いた「失踪日記」がすこぶる面白かったです。
というよりも面白いだけではなく身につまされる感がすごかったですね。
柔らかな絵柄で中和された、破滅型ドキュメンタリーの迫力が壮絶でした。
作中にでてきた意地の悪い医師の言葉「キュウリのぬか漬けが元のキュウリに戻らないのと同じで、アルコール中毒になった肝臓も元には戻りません」というセリフ。
記憶が曖昧で正確ではないかもしれませんが忘れられない至言です。

こちらも

合掌。

 

吾妻ひでお 失踪日記

 

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