長嶋一茂さんの相続放棄?

デイリー新聞の記事ですが・・・

長嶋一茂 相続放棄

 

前にもどこかで触れた気がしますが、ミスタージャイアンツ長嶋茂雄氏の長男、長嶋一茂さんの相続に関する記事です。
本人曰く、「全部(相続を)放棄している」とのことですが、これがどうにも引っ掛かります。

相続放棄とは、相続に関わる一切の権利義務を放棄する制度を言い、相続人が相続放棄をすると法律上は最初から相続人でなかったものとみなされます。
そして相続放棄の手続きは、相続放棄をする相続人が、相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申し立て(申述)をする必要があります。
つまり、この手続きで重要なことは「相続が開始してから申し立てる」と言うことで、言い方を変えると相続放棄は被相続人(予定者)が生きているうちに行うことはできないということです。
そもそも相続権という権利は相続が発生して初めて生まれる権利ですので、相続権が発生する前にこれを放棄するというのも変な話しで、当然と言えば当然と言えるかもしれません。

一茂さんの場合は、被相続人(予定者)である茂雄さんがまだ存命ですので、当然、相続放棄を法律上行うことはできません。
もちろんご自身のお気持ちとして「相続財産についての主張はしない」ということはありえるわけですが、それを法律的に担保する制度はありませんので、一茂さん以外の相続人の方からすると、茂雄さんの相続発生後に一茂さんが「やっぱりおれ相続財産もらうわ」と言ったとしても、それを拒否することはできません。

私個人としては長嶋家の財産の行方については野次馬的第三者以上の興味はありませんが、一茂さんのこの相続放棄の話しを聞くたびに気持ちがざわつくのは、「相続放棄」という言葉自体は一般的にもよく知られている言葉であり、その上でこういう著名な方の法律的に間違った言動が取り上げられることで、それを読んだり聞いたりした人に何らかの影響があるのではないかと思うからです。

実際に以前ある方(被相続人予定者の方)に相続人の構成や関係性を踏まえて、遺言を書いておいた方が良いですよとお勧めした際に、「いや、もう〇〇(名前)には相続放棄すると一筆書かせてあるから」と言われたことがあります。
誰かがアドバイスしたのかご自身のお考えなのかは分かりませんが、その様な文書は弁護士が作ろうが公正証書で作ろうが法律的には何の効果もありません。
ただこれがなかなか理解をしてもらえません。
しかし実際問題としてはこの様な一筆には効力がありませんので、そのまま相続になれば遺産分割協議が揉めてしまう可能性は否定できません。

今回の記事も一茂さんの悪気の無い発言を報じた小さなものですが、巡り巡って誰かに深刻な影響を与える可能性がないとも限りませんので心配に思う次第です。

 

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