相続対策と言ってもなにから始めてよいかわからない。
あるいはそもそも何が問題なのかがわからない。
その様な声は非常に多いです。
ではそんな時にどうするのかといえば、まずは現状を把握するところから始めるのが基本です。
何事も「前提が間違えば結果も間違う」、これは鉄則ですので、まずは現状を正しく認識することが、正しい相続対策への第一歩となります。
弊社では相続のご相談をお受けする時には、次のようなチェックリストで現状を把握させていただいております。
内容は簡単で、その気になれば5分くらいで終了してしまうものです。
質問は【生活全般】、【相続人】、【相続財産】の3つの項目に分かれているのですが、今日はその内の【生活全般】のご質問についてご紹介をさせて頂きます。
【生活全般】
① 心身ともに健康ですか ( Y / N )
② 相続について、自分なりにお考えはまとまっていますか( Y / N )
③ 相続についてご相談できる相手はいらっしゃいますか( Y / N )
④ 老後の生活費は足りていますか( Y / N )
⑤ 老後は親族のどなたのお世話になるつもりですか( Y / N )
⑥ 認知症など意思判断能力に不安のある方はいますか( Y / N )
⑦ 相続人以外でお世話になった方はいますか( Y / N )
⑧ 相続人で財産を残したい人はいますか( Y / N )
⑨ 相続人以外で財産を残したい人はいますか( Y / N )
⑩ 遺言は書いてありますか( Y / N )
⑪ 事業を行っていますか( Y / N )
以下、簡単に各質問の解説をしていきます。
① 心身ともに健康ですか
相続対策は、何かをしてそれで終わりというものではありません。一定の期間を通じて行う対策もありますし、見直しも必要です。相続対策を進めるにあたり心身の健康はとても重要です。
② 相続について、自分なりにお考えはまとまっていますか
自分なりの相続観があれば、相続対策もその内容に沿って進めていくことが基本です。
相続対策は相続人など残された人のために行うものですが、最も優先されるのはご自身の考えです。
③ 相続についてご相談できる相手はいらっしゃいますか
一人で考えることには限界があります。
信頼できる相談者がいることは大切なことです。
④ 老後の生活費は足りていますか
言うまでもなくお金の問題は非常に重要です。
生活費が十分足りている場合には、どのように財産を次の世代に承継していくのかを考える必要がありますし、もし老後資金が不足する場合には、子供など誰かの世話になることを検討しなくてはなりません。
そしてお世話になる人に対してどのように報いていくのかを考えることも、相続対策の非常に重要なポイントです。
⑤ 老後は親族のどなたのお世話になるつもりですか
世話になるかならないかということから始まり、誰かのお世話になるのであれば、その方に対してどのように報いていくのかを考える必要があります
⑥ 認知症など意思判断能力に不安のある方はいますか
相続対策を行う大前提は、「本人に意思判断能力がある」ということです。
逆に意思判断能力を失ってしまうと相続対策はなにもできません。
意思判断能力に不安上がある時には、早急に対策を考える必要があります。
また親ではなく子が意思判断能力を失うこともあります。
その場合の生活の手当てなども検討する必要があります。
⑦ 相続人以外でお世話になった方はいますか
言うまでもなく相続人以外の人には相続権がなく、遺産分割協議の当事者にはなれません。
その様な人に財産を残したいなどの希望があれば、遺言や生前贈与などの対策を検討する必要があります。
⑧ 相続人で財産を残したい人はいますか
特定の相続人に法定相続分を超えて財産を残したい時には、相続人による遺産分割協議に委ねるのではなく遺言による指定などの対策が必須です。
逆に財産を残したくないという相続人がいる場合にも同様に対策が必要です。
⑨ 相続人以外で財産を残したい人はいますか
⑦と同様、相続権の無い人に相続財産を残そうとするときには遺言等の対策が必要です。
⑩ 遺言は書いてありますか
遺言は本人の死亡後、法律的な効力を持ち遺産分割協議に優先します。
遺言は何度でも書き換えることが出来ますので、その時点で最良と思う内容で書いておくことが可能です。
⑪ 事業を行っていますか
事業を行っている場合には、後継者選びが非常に重要です。
また、相続発生時には後継者に事業用財産や株式などを確実に承継させる必要があります。
事業主の相続は財産規模が大きくなりやすく、一般の相続よりも被相続人が相続の道筋を作っておく必要性は高くなります。
生活全般にかかわるご質問は、本人(被相続人予定者)の生活に関する考え方や問題点の洗い出しということを意図しています。
相続対策は生活設計の延長にあるものですので、ご本人様の健康や資産など生活の基盤になる事柄について確認をさせて頂いております。
次回は「相続人」に関する現状チェックをご紹介させて頂きます。
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