怖すぎる!連帯納付義務とは

連帯納付義務という言葉を聞いたことがありますか?
名前の通り何かを「連帯して納付する」義務のことですが、あまり良いことではなさそうな雰囲気は感じられると思います。

では何を連帯して納付するのかというと、実は「相続税」と「贈与税」です。
言うまでもなく「相続税」は相続した財産に課税される税金で、財産の評価額から基礎控除と呼ばれる「3000万円+法定相続人の数×600万円」を差し引いた後の金額が課税対象になります。(各種控除により基礎控除を上回る相続財産でも相続税がかからないことはあります)

一方、贈与税は個人間で行われた贈与財産に対し課税がなされるもので、原則として受贈者(贈与を受けた人)一人当たり年間110万円を超えて贈与を受けると贈与税が課税されます。

両税とも財産額が大きくなればなるほど税率が高くなる累進課税で、最高税率は55%と高額です。(別途控除額はあります)

言うまでもなく、本来納税義務があるのは財産を受け取った人ですので、相続税であれば相続や遺贈(遺言により財産を受け取ること)によって相続財産を取得した人、贈与税であれば贈与財産を受け取った人が納税義務者となります。
しかし納税義務があるからと言って、必ずしも納税がなされるとは限りません。
財産を受け取ったにもかかわらず納税しない不届きな人が時々いるのです。

その場合、課税主体である国は税金を取りはぐれるわけにはいきませんので、何らかの形で税金を徴収しようと考え、これが連帯納付義務という考え方につながります。
冒頭でも書きましたが、「連帯納付義務」とは名前の通り「連帯して税金の納付する義務」のことで、連帯納付義務を負うのは、相続税であればその相続で財産を受け取った他の相続人等、贈与税の場合は何と贈与した人となります。
相続税の場合は、自分が受け取った財産の額を上限に連帯納付義務を負い、贈与税であれば贈与した額を上限に連帯納付義務を負います。
つまり贈与税の場合、その年の贈与者が一人だけであれば、その人が贈与税全額について納税義務を負うことになります。
贈与をした上で贈与税まで支払わされるという、まさに恩を仇で返すとはこのことだというぐらい恐ろしい規定です。

もちろん税金を代理納付した人は、本来の納税義務者に自分が立て替えて納税した金額を請求(求償)できますが、相続や贈与で財産を受け取っていながら税金を支払わないような図太い人から果たして取り立てが出来るのかといえばこれは甚だ疑問です。

相続税の場合であれは、相続人同士の折り合いが悪かったり、素行に問題のある相続人が財産を相続した場合、贈与税であればいわゆる「放蕩息子(娘)」などに贈与をする時には要注意としか言いようがありません。

実際に連帯納付義務が問題になったケースを私はそれほど知りませんが、れっきとして存在する制度ですし裁判例もあります。
日本弁護士連合会なども制度の見直しに関する意見書を提出しており、常識的に考えても国が安易に他人に責任転嫁するような不合理な点があると言えますが、相続税や贈与税が多額になる場合には頭の片隅に置いておくべき知識の一つだと思います。

 

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