相続セミナー

「相続実務講座 ~実際にあった相続事例より~ 相続相談の現場で起こっていること」
というセミナーを受講しました。
1月17日に第一回講座があり、今回が第二回目です。

色々とためになる内容でしたが、印象深かったのが、相続手続きで起こりがちで且つ取り返しのつかない失敗として取り上げられた、不動産の共有と遺産分割のやり直しについてです。
これがどういうことかと言いますと、遺産分割協議で不動産を共有した場合の共有持ち分の変更や、あるいはその遺産分割協議そのものを、簡単にやり直せると考えている方が意外と多くてトラブルになることがあるというものです。

遺産分割協議の実務では、相続人が遺産分割協議を行い話しがまとまると、通常は遺産分割協議書を取り交わします。
遺産分割協議書は金融機関の預貯金名義や不動産の所有者名義の変更手続きの根拠となる書類で、全ての相続人が実印により署名捺印をする必要があります。
遺産分割協議により各相続人の相続内容が確定すると、後になって例えば兄が相続した自宅をやっぱり弟が相続しますというようなことは出来ません。
どうしても兄から弟に名義を変えたいという時には、遺産分割協議のやり直しではなく、「売買」や「贈与」といった新たな手続きが必要となってしまい、譲渡所得税や贈与税の対象になってしまいます。
遺産分割協議書は相続人間の合意に基づく書類ですので、話さえまとまれば簡単にやり直しができると考えてしまいがちですが、実はそうではないという点には注意が必要です。
(成立した遺産分割協議書を当事者以外はまだ誰も目にしていない段階で隠密に処分して、再度違う内容で遺産分割協議書を取り交わせばバレませんが、逆に言うと遺産分割協議をやり直せるのはその段階までということです)

また共有の場合も同様で、遺産分割協議において不動産は分けづらい財産なので取り合えず相続人で共有にしておくというケースは少なくないですが、これも共有という形で遺産分割が成立してしまうと、後から「やっぱり兄の共有持ち分を弟に譲る」といったことは簡単には出来ません。
やはり「売買」や「贈与」という手続きが必要になってしまいます。

この内容、そんなことは当たり前だと思う方も多いかもしれませんが、仮に人が10人いてそのうち1人でも勘違いをしそうな方がいるとすれば、それは立派な要注意事項になると思います。
こういうセミナーを受けると、目から鱗というような内容はそう多くはなくても、ちょっとした気づきがいくつもあってためになります。

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